一口にフロアコーティングと言っても、その素材により有機系コーティングと無機系コーティング、大きく分けると二つの種類に分けられます。有機系コーティングは、有機物(ウレタン)素材を塗料として使っており、その配合割合によって時間の経過と共にに劣化し黄色く変色します。一方、無機系コーティングは、一般にガラス素材を塗料としたものを言い、劣化や変色はしません。ただし、少量のガラス塗料を混合する事で「劣化しない無機系コーティング」とうたっている商品もありますので、第三者公的機関の試験結果証明書類を見せてもらい、その耐久性を確認する事をお勧めいたします。
有機系コーティングの中では、一番の耐久性があるウレタンハードコーティングですが、実はあまり普及していません。ウレタンハードコーティングは施工が難しく、失敗時にリカバリすることが出来ないことが要因です。また、UVウレタンコーティングは、太陽光に弱く、陽のよく当たる部分は、ひび割れなどを起こしますので、窓ガラスのUVカットフイルム施工と併せて施工する必要があります。
ガラスコーティングは、業者によって原料の液体ガラスの希釈率が違います。原料を大幅に希釈して安価で提示してくる業者もいますので、ガラスコーティングだからと言って有機系コーティングよりも耐久性があるとは限りません。第三者公的機関の証明書を提示してもらうなどして耐久性を確認されることをお勧めいたします。
床材の破損や塗り直しの為、一度塗ったコーティングを剥離する必要が出てくる場合があります。フロアコーティングは、その種類によって剥離出来るものと出来ないものがあります。また、技術的には可能であっても、非現実的な費用がかかるなど、実質的にはフローリング張替えを余儀なくされるものがありますので注意が必要です。
フロアコーティングの原料単価は、その耐久年数に比例して高くなっています。ただし、有機系コーティングの中で1番耐久性の高いウレタンハードコーティングについては、その生産量の多さから原料単価が他の塗料よりいくぶん安くなっていますが、施工に技術を要する為、施工費総額は他よりも高くなる傾向があります。
フロアコーティングは、その目的や施工する場所によって向き不向きがあります。新築住宅や新築マンションの購入時やリフォームなど、新しいフローリングを長期間保護する目的なら、耐久性の高い無機系コーティングが向いていると言えるでしょう。また、ペットの引っ掻き傷や水汚れなどが心配な方は、塗料面の弱い高濃度ウレタンコーティングや、シリコン配合ウレタンコーティングにすべきではありません。一方、店舗など10年程度で改装することを前提とした場所や、保護よりも装飾を重視するのなら、ピカピカに艶の出るUVウレタンコーティングが向いています。原料の希釈率など業者によってまちまちですので、その耐久性や安全性を証明する第三者公的機関の試験結果などを見て判断されるのが大切です。契約の欲しい業者のその場限りの口車に乗らず、その根拠となる資料を見せてもらうか、写しをもらって、万が一に起こる施工不良に準備しておく事をお勧めいたします。